アサギマダラが好む花を知りたい方へ――実はこの蝶、フジバカマやヒヨドリバナなど「特定の花」に夢中なんです。
秋になると群れをなして花に集まるその姿は、まるで奇跡のような美しさ。
なぜアサギマダラは特定の花を選ぶのか?自宅の庭でも呼べる花や、全国のおすすめ観察スポット、科学的な理由まで徹底解説!
この記事を読めば、あなたもアサギマダラと花の神秘的な出会いを楽しむ方法が見えてきます。
さあ、一緒にその魅力を深掘りしてみませんか?
アサギマダラが好む花の種類と特徴7選

アサギマダラが好む花の種類と特徴7選についてご紹介します。
- ①フジバカマ(アサギマダラが最も好む花)
- ②ヒヨドリバナ(夏から秋の大定番)
- ③ヨツバヒヨドリ・ヤマヒヨドリバナ(山地の人気蜜源)
- ④アザミ(春から秋まで吸蜜可能)
- ⑤ツワブキ(南西諸島や温暖地で活躍)
- ⑥スナビキソウ・オオルリソウ(海岸・南方ルートの名脇役)
- ⑦その他のおすすめ吸蜜植物
それでは、アサギマダラが夢中になる花たちをくわしく解説します!
①フジバカマ(アサギマダラが最も好む花)

アサギマダラと言えば、やっぱりフジバカマは欠かせません。
秋の七草としても有名で、9月から10月にかけてピンクがかった花を一斉に咲かせる姿はとても美しいです。
実は、アサギマダラが最も強く引き寄せられる花がフジバカマなんです。
特有の甘い香りと蜜があるからか、群生している場所には必ずといっていいほどアサギマダラが集まります。
しかも、フジバカマにはアサギマダラのオスにとって大事な成分「ピロリジジンアルカロイド(PA物質)」が豊富に含まれているのもポイント。
この成分があるからこそ、アサギマダラはフジバカマを探し求めて長旅を続けている、といっても過言じゃないですね。
ちなみに、今やフジバカマは準絶滅危惧種で、野生で見つけるのはけっこうレアになっています。
自宅や公園でフジバカマを植えているところは、秋になるとアサギマダラの飛来スポットになるので、本当に夢みたいな光景に出会えますよ!
フジバカマの群生地は、全国でも観察の名所になっているところが多いです。
「アサギマダラを呼びたい!」という方は、まずフジバカマを育ててみるのがおすすめです。
私もフジバカマの香りと、群れ飛ぶアサギマダラの幻想的な風景が大好きです!
②ヒヨドリバナ(夏から秋の大定番)
ヒヨドリバナもアサギマダラの大好物です。
フジバカマの親戚みたいな存在で、夏から秋にかけて咲き、山や野原でよく見かけます。
アサギマダラにとってヒヨドリバナは大切な栄養源で、移動中にしっかりエネルギーを補給できる貴重な存在なんです。
とくに標高が高い場所では、ヒヨドリバナが一面に広がっていることも多いので、その上を舞うアサギマダラは圧巻ですよ!
PA物質も多く含まれていて、アサギマダラがヒヨドリバナに何度も訪れる姿はとても印象的です。
また、フジバカマよりも野生で出会いやすいので、「山歩きが趣味」という方はヒヨドリバナを探しながらアサギマダラを観察するのも楽しいですよ!
私も長野県の山でヒヨドリバナに群がるアサギマダラを見て感動した経験があります。
③ヨツバヒヨドリ・ヤマヒヨドリバナ(山地の人気蜜源)
ヨツバヒヨドリやヤマヒヨドリバナも、ヒヨドリバナの仲間でアサギマダラに大人気です。
どちらもキク科の多年草で、山地や高原、森の縁などでよく見られます。
花が咲く季節は夏から秋で、山歩きや高原ドライブの際に見つけやすいですよ。
花が群生している場所には、アサギマダラが何頭も集まっていることも多いので、観察にはもってこい!
フジバカマやヒヨドリバナと同じく、PA物質を含んでいるので、特にオスのアサギマダラが好んで吸蜜・吸汁にやってきます。
山の涼しい空気の中、ヨツバヒヨドリやヤマヒヨドリバナの花にとまるアサギマダラは、本当に癒されます。
「高原の夏・秋の風物詩」といった感じですよ!
自然散策が好きな方にはぜひ注目してほしい花です。
私も毎年この花とアサギマダラの共演を楽しみにしています!
④アザミ(春から秋まで吸蜜可能)
アザミもアサギマダラがよく訪れる花です。
春から秋にかけてずっと花を咲かせてくれるので、アサギマダラの渡りの時期にちょうど良いタイミングで出会えるのが嬉しいポイント。
野山や道ばた、空き地など身近な場所にも咲いているので、アサギマダラ観察の入門編としてもおすすめです。
特に春の渡り時期はアザミが大活躍。アサギマダラたちは吸蜜しながら北へと旅を続けていきます。
花にとまるアサギマダラの美しい羽色と、アザミの紫色がとても良いコントラストを生み出しますよ!
ガーデニング好きな方は、アザミを植えてみるのも楽しいと思います。
ちなみにアザミは種類が多いので、自分の住んでいる地域にあったものを選んで育ててみてください。
⑤ツワブキ(南西諸島や温暖地で活躍)
ツワブキは秋に咲く黄色い花で、南西諸島や温暖な地域に住むアサギマダラの重要な蜜源です。
鮮やかな黄色い花が秋の庭や道端を明るく彩り、アサギマダラの羽とのコントラストがとても美しいです。
南へ渡る途中でエネルギー補給するため、ツワブキは欠かせない存在なんですね。
ガーデニングでも人気の花なので、自宅の庭や花壇でも手軽に育てられます。
アサギマダラを呼びたいなら、ぜひツワブキも候補に入れてみてください。
⑥スナビキソウ・オオルリソウ(海岸・南方ルートの名脇役)
スナビキソウはムラサキ科の海岸植物で、4~6月ごろに咲きます。
特に大分県姫島では、スナビキソウの花畑に数千頭のアサギマダラが群舞する光景が「日本一の乱舞」と言われるほど壮観なんです!
この花には独特の香りがあり、アサギマダラは花だけでなく、枯れ葉や茎、地下茎からも吸汁するほどの大好物。
ほかにも高知県ではオオルリソウが、同じようにアサギマダラを引き寄せる重要な植物として知られています。
花の蜜だけでなく、葉っぱや蕾を吸うという珍しい行動が見られるのも特徴です。
身近な花ではないですが、観察地ではぜひスナビキソウやオオルリソウをチェックしてみてくださいね。
⑦その他のおすすめ吸蜜植物
上記以外にも、アサギマダラがよく吸蜜に訪れる花はいろいろあります。
例えば、シモツケ(5月〜8月開花)、ウツギ、コスモス、テンニンソウ、三尺バーベナなどが挙げられます。
また、セイタカアワダチソウ(外来種)も秋に咲いていますが、環境への影響があるので植えすぎには注意が必要です。
家庭の庭や花壇では、フジバカマやヒヨドリバナと一緒にこれらの花も組み合わせて植えると、より多くのアサギマダラが訪れてくれるかもしれません。
さまざまな花の組み合わせで、自分だけのアサギマダラ・ガーデンを作ってみるのも楽しいですよ!
アサギマダラが花を選ぶ科学的な理由5つ
アサギマダラが花を選ぶ科学的な理由5つについて詳しく解説します。
では、アサギマダラが「なぜその花を選ぶのか?」を科学的に見ていきましょう!
①ピロリジジンアルカロイド(PA物質)の秘密
アサギマダラがヒヨドリバナやフジバカマなどを好む一番の理由は、「ピロリジジンアルカロイド(PA物質)」にあります。
このPA物質は、キク科の特定の植物に多く含まれている天然の化学成分です。
実は、PA物質は多くの昆虫にとっては毒にもなりうるものなのですが、アサギマダラにとっては大切な成分なんです。
アサギマダラの体内では、このPA物質がオスのフェロモンの材料になったり、天敵から身を守るための防御物質として働いたりしています。
だからこそ、PA物質を求めて何百km、時には1000km以上の旅までしてしまうんですね。
こうした科学的な背景を知ると、アサギマダラの“花選び”の理由がぐっとリアルに感じられます。
私も初めてこの話を知ったときは、ただの「おいしい蜜を求めている」わけじゃないことに驚きました!
②オスのフェロモン生成に必要
特にアサギマダラのオスにとって、PA物質はフェロモン生成に不可欠な栄養素です。
オスがPA物質を体内で分解し、特有のフェロモンをつくることでメスを惹きつける、という役割を持っています。
この現象は、昆虫全体でもかなり珍しいケースなんだそうです。
つまり「いい花を選べるオス=モテるオス」ということなんですね。
そのため、アサギマダラのオスは競うようにフジバカマやヒヨドリバナにやってきて、何度も吸蜜や吸汁を繰り返しています。
私も実際に観察していて、何度も同じ花に戻ってくるオスを見て、「やっぱり本能に従ってるんだな」としみじみ感じたことがあります。
③吸蜜以外の吸汁行動もある
アサギマダラは花の蜜を吸うだけじゃなく、実は枯れ葉や蕾、さらには茎や地下茎まで「吸汁(きゅうじゅう)」することがあるんです。
この行動は、ほかの蝶ではあまり見られない、アサギマダラならではの特徴のひとつです。
とくにスナビキソウやオオルリソウ、モンパノキの枯葉などにはPA物質が多く含まれていて、花以外の部位からも効率よく成分を摂取できるみたいです。
春の北上ルートや海沿いの観察地などでは、花が少ない時期や場所でもこの「吸汁行動」が観察されています。
これも渡りを続けるための“したたかなサバイバル術”なのかもしれません。
④幼虫期はガガイモ科植物が必須

アサギマダラの幼虫時代は、キジョランなどガガイモ科の植物しか食べません。
このガガイモ科の葉にも、実はPA物質が含まれています。
成虫になる前から、アサギマダラは体内にPA物質を蓄えているというわけなんです。
成虫になってからも吸蜜・吸汁で追加のPA物質を摂取し、オスはフェロモン作りや身を守る役割に利用します。
幼虫から大人まで「PA物質と共に生きる」アサギマダラ、なんだかロマンがありますよね。
私もガガイモ科の葉で幼虫がのんびり食事している姿を見ると、「将来どこまで旅するのかな」と想像してワクワクします。
⑤なぜ特定の花だけに集まるのか
アサギマダラは、なぜ他の蝶に比べて「特定の花だけ」を選ぶのか。
その答えはやっぱりPA物質を必要とする生態にあります。
普通の蝶は“甘い蜜があるかどうか”だけで花を選びますが、アサギマダラは「体のためにPA物質が欠かせない」ので、花の種類が自然と絞られてくるのです。
さらに、長距離を移動するためにはエネルギー補給も重要で、ヒヨドリバナやフジバカマのような栄養たっぷりの花がベストチョイスになる、というわけです。
だから、アサギマダラの観察地では「みんな同じ花に集まっている」ことがよくあるんですね。
私も現地で何十頭ものアサギマダラが1本のフジバカマを取り囲む姿を見て、自然の不思議と生命のつながりを強く感じました。
自宅や庭でアサギマダラを呼ぶ花の育て方5ステップ
自宅や庭でアサギマダラを呼ぶ花の育て方5ステップを紹介します。
アサギマダラを家や庭に呼びたい方、ぜひチャレンジしてみてください!
①フジバカマ・ヒヨドリバナの植え方
まずは、アサギマダラを呼ぶために欠かせないフジバカマやヒヨドリバナを植えるところから始めましょう。
フジバカマやヒヨドリバナは苗や種から育てることができます。
園芸店やネット通販で苗が売られていることも多いので、手軽に入手できますよ。
日当たりと水はけの良い場所を選んで植えるのがポイントです。
特にフジバカマは湿った土を好みますが、あまりジメジメしすぎないように気をつけましょう。
私も最初は小さな鉢から始めて、少しずつ花壇に増やしていきました。
秋になると淡いピンク色の花がたくさん咲いて、とても華やかになります。
②鉢植え・花壇でのコツ
「庭がない」「ベランダしか使えない」場合でも、フジバカマやヒヨドリバナは鉢植えで十分育てられます。
大きめの鉢やプランターを用意し、市販の培養土や腐葉土を使って植え付けましょう。
株間は広めにとると、風通しが良くなり元気に育ちます。
また、鉢植えの場合は水やりや肥料が切れやすいので、定期的にチェックしてあげるのがコツです。
私も鉢植えからチャレンジして、秋にはたくさんのアサギマダラがやってきてくれました。
ベランダで育てていると、意外と目の前までアサギマダラが遊びに来ることもありますよ。
③化学農薬を避ける理由
アサギマダラはとてもデリケートな生き物です。
除草剤や殺虫剤などの化学農薬を使うと、花の蜜や葉っぱに薬剤が残り、アサギマダラが寄り付かなくなってしまいます。
また、薬剤が蝶の体に付着すると、思わぬダメージを与えてしまうことも。
できるだけ無農薬で育てて、自然の状態を大切にしてあげてください。
私も無農薬で花を育てるようになってから、アサギマダラだけでなく、いろんな蝶やハチも集まるようになりました。
④水やり・管理方法
フジバカマやヒヨドリバナは基本的に丈夫な多年草ですが、水やりや管理のポイントを押さえておくとより元気に育ちます。
土が乾いたらしっかり水をあげる。逆に水のやりすぎで根腐れしないように気をつけてください。
特に夏場や乾燥しやすい時期は、朝か夕方に水やりをすると植物にやさしいです。
肥料は春と夏に有機肥料を少し与えるくらいでOK。
枯れた花や葉は早めに取り除くと、病気の予防にもなります。
⑤家庭での観察成功例
実際に自宅やベランダでフジバカマやヒヨドリバナを育てていると、秋になるとアサギマダラがふわりとやってきます。
地域や年によって数は変わりますが、都市部の庭でも訪れることがあるので本当にワクワクしますよ。
私も初めて自宅のフジバカマにアサギマダラがとまってくれた瞬間は、思わず「やったー!」と声が出てしまいました。
その後も毎年のように訪れてくれて、家族や友人と一緒に観察できるのも嬉しいポイントです。
フジバカマやヒヨドリバナは景観もきれいなので、花壇やベランダのアクセントとしてもおすすめですよ。
ぜひチャレンジしてみてください!
アサギマダラと花の美しい共生が見られる観察スポット5選
アサギマダラと花の美しい共生が見られる観察スポット5選を紹介します。
アサギマダラの幻想的な舞いと花々の美しいコラボを楽しめる名所をチェックしてみましょう!
①霧ヶ峰高原(長野県)
長野県の霧ヶ峰高原は、夏から秋にかけてフジバカマの群生とアサギマダラの群舞が楽しめる日本有数の名所です。
標高が高く、湿地帯や草原にフジバカマやヒヨドリバナが咲き乱れるため、アサギマダラが毎年数多く飛来します。
秋の晴れた日には、空をふわりと舞うアサギマダラとピンクのフジバカマが一面に広がる絶景が広がります。
ビジターセンターや観察用の遊歩道も整備されていて、家族連れでも安心して観察できるのが嬉しいポイント。
私も実際に訪れた際、数十頭のアサギマダラが乱舞する光景に息を呑みました。
②石鎚山(愛媛県)
愛媛県の石鎚山は、西日本随一のアサギマダラ観察スポットです。
山の中腹にあるフジバカマの群生地には、毎年秋に多くのアサギマダラが南下ルートの途中で立ち寄ります。
地元のボランティア団体が花畑を丁寧に管理しており、見ごろの時期には案内イベントも開催されています。
標高や日当たりによって訪れる時期が変わるので、事前に情報を調べておくのがコツです。
③屋久島(鹿児島県)
鹿児島県の屋久島は、アサギマダラが秋に南下するルート上にあり、島内各地でその姿を見ることができます。
屋久島の自然は非常に豊かで、フジバカマやヒヨドリバナなどの蜜源植物も多く見られます。
世界遺産にも登録されている大自然の中で、アサギマダラが渡りの途中でひと休みする姿はとても神秘的。
観光やトレッキングの合間にアサギマダラを探すのも楽しい体験ですよ。
④大分県姫島の乱舞
大分県の姫島は、スナビキソウの群生地として全国的に有名な場所です。
毎年4月から6月の開花期には、数千頭ものアサギマダラが集まり、まさに「日本一の群舞」と呼ばれています。
海岸沿いの遊歩道やビュースポットから、スナビキソウに吸蜜・吸汁するアサギマダラを間近に観察できます。
この圧巻の光景を一度は体験してほしい!と思うほどです。
⑤その他全国の穴場スポット
有名な観察地以外にも、全国にはアサギマダラと花の美しい共生が見られるスポットがたくさんあります。
たとえば、四国中央市(愛媛県)のフジバカマ群生地や、九州南部の山地、東北の高原地帯などもおすすめです。
また、市民団体や自治体がフジバカマの植栽活動を行っている公園や、自然観察イベントが開かれる場所も増えています。
自分の住んでいる地域でも「アサギマダラ+フジバカマ」の組み合わせを見かけたら、ぜひ足を運んでみてください。
まとめ|アサギマダラが好む花と観察スポットの魅力
アサギマダラが好む主な花 |
---|
①フジバカマ(アサギマダラが最も好む花) |
②ヒヨドリバナ(夏から秋の大定番) |
③ヨツバヒヨドリ・ヤマヒヨドリバナ(山地の人気蜜源) |
④アザミ(春から秋まで吸蜜可能) |
⑤ツワブキ(南西諸島や温暖地で活躍) |
⑥スナビキソウ・オオルリソウ(海岸・南方ルートの名脇役) |
⑦その他のおすすめ吸蜜植物 |
アサギマダラは、フジバカマやヒヨドリバナといった特定の花に強く惹かれます。
その背景には、ピロリジジンアルカロイドという特別な成分が必要だからという、科学的にも面白い理由があります。
自宅や庭でも、これらの花を無農薬で育てれば、秋には神秘的なアサギマダラが訪れてくれる可能性があります。
全国の観察スポットもたくさんあり、実際にその美しい舞いを体験できるチャンスが広がっています。
花の好みを知ることで、アサギマダラとの距離がぐっと近づくはずです。